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「保育観が合わない」と感じたら…|すり合わせの方法&転職時のポイント

yura
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Last Updated on 2025年5月15日 by yura

保育の仕事をしていると、ふとした場面で「この人とは保育観が違うな…」と感じることがありますよね。

例えば:

  • 「もっと子どもの主体性を尊重したいのに、先輩は指示ばかり」
  • 「厳しすぎる声掛けに違和感を覚えるけど、新人の自分が言っていいの?」
  • 「あの先生は“静かにさせる”ことが保育だと思っているように見える」

こうした保育観のズレは、表立って衝突しなくても、日々のモヤモヤとして蓄積され、ストレスの原因になります。

この記事では、現場で起こりやすい保育観の違いのリアルな事例を交えながら、「なぜ保育観のズレは起きるのか」、「どうすればすり合わせができるのか」を丁寧に解説します。

yura(筆者)
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Profile
大学で4年間保育・幼児教育について学んだ後、保育士資格、幼稚園教諭一種免許を取得。卒業後は保育園で保育士として4年間勤める(1・2・3歳児クラス経験あり)。結婚後は、幼稚園事務に転職。現在は時間に融通の利く幼稚園パート(保育補助)として勤務している。

「保育観の違い」ってなに?

保育観とは?

保育観とは、保育士や教育者が「保育とはこうあるべき」と考える価値観や信念のこと。

これは人それぞれの:

  • 経験(現場で学んだこと)
  • 研修や教育(大学・専門学校)
  • 自身の子育て観や人生観によって形成されます。

つまり、「どれが正しい/間違っている」という話ではなく、「違いがあることが前提」なのです。

保育観の主な種類と特徴例

保育観の種類概要
子ども主体型(子ども中心観)子どもの意思や興味・関心を尊重し、発達に応じて自主的に活動できるよう支援する
教師主導型(指導主義観)保育者が活動を計画・主導し、望ましい姿に導くことを重視する
育成重視型(発達保障観)発達段階に応じた経験や刺激を提供することで、心身の成長を促すことを目的とする
家庭支援型(保護者支援観)子育て家庭のニーズに応える支援の一環として保育をとらえ、保護者との連携を重視する
集団教育型子ども集団の中での人間関係・社会性の発達を重視する保育観
遊び中心型遊びを“学びの基盤”ととらえ、保育は自由遊びの中での気づきや体験を通じて成長を促すという立場
安全・安心重視型子どもの命と心身の安全を第一にし、環境整備やルール・見守りの徹底を優先する
行事重視型年間行事や発表会などの目標に向けた活動・準備を通して達成感や成長を引き出す

多くの園は上記の保育観を1つに絞らず、複数を併せ持っています。

【現場のリアル】保育観のズレが生む摩擦事例

事例①:子どもへの接し方の違い

ベテランの先生が3歳児に強く叱っており、私は「そんなに怒らなくても良いのではないか」と思ったのですが、言い出せませんでした。

最近は「叱らない子育て」という言葉も聞きますよね。この先輩の叱り方にもよりますが、あまり厳しい叱り方をするのは子どもが可哀そうですし、子どもも心を閉ざしてしまう可能性があります。
しかし、「甘やかしすぎるのもよくない」「ルールや常識を学んでいかなければならない」という意見もありますよね。実際、私も公共の場で子どもが好き勝手騒いでいるのに、子どもを全く注意しない親を見るとドン引きしますし…(親御さんがしっかり注意しているのに子どもが言うことをきかない時は別)。

事例②:安全管理の違い

私は室内で体を動かして遊ばせたいのですが、ペアの先生は「ケガをするといけないから、座って遊べる活動にしましょう」と言っています。

雨の日や、夏場の熱い時期などは外で遊べないので、その分室内で体を動かして発散させたいですよね。しかし、その日の子ども達の状態によっては、クラスが落ち着かなかったり、場合によってはケガをさせることもあります。
ケガをさせないよう、子ども達の安全を守ることも保育士の責任なので、難しい問題ですね。

なぜ「保育観の違い」は起こるのか?

保育の正解が一つではないから

  • 子ども一人ひとりの発達段階・気質・環境が違う
  • 園の方針や家庭との連携のスタイルも多様

→ そのため、「保育に正解はない

経験年数や世代差も影響

  • 「しつけ重視」or 「自己肯定感を育てる保育」
  • 「ベテランだから正しい」とされやすく、新人が声を上げづらい雰囲気がある
  • 特に複数担任だとペアの先生とすれ違いが起きがち
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私が以前勤めていた園では、とにかく「ケガをさせない」という方針だったので、ハサミの練習も4歳児クラスからでした。ですが、別の園の4歳児クラスでは、すでに個々が自由にハサミを使って好きなものを作っていました。園によっても保育観が変わりますね。

ズレを乗り越える「すり合わせ」の方法

相手を否定しない「違いの前提」で話す

NG「それはおかしいです」
→○「私はこういう考えなんですが、どうでしょうか?」

→ 相手も「経験から来る保育観」を持っていること前提で話すことが大切。

共通の目的に立ち返る

  • 「子どもが安心して過ごすには?」
  • 「今、この子にとって一番必要なのは?」

→ 個々の保育観より、「子どもの最善の利益」を共通言語にする。

第三者の言葉を使う(本・研修・園方針)

  • 「○○研修でこういう視点を学びました」
  • 「園の保育理念に照らしてみると…」

→ 主観ではなく客観的材料を使うことで、個人攻撃になりにくい。

まずは「一緒に見てみませんか?」と提案

  • 「この子の様子、ちょっと一緒に見てみませんか?」
  • 「今日の活動、どう感じました?」

→ 共に観察することで、感覚を共有しやすくなる。

筆者が行った保育観のすり合わせ方

事例:筆者のエピソード

年配の先生と組んだのですが、保育士歴は私の方が上だったので、私がクラスリーダーとしてまわしていました(3歳児クラス)。
私は活動中は子どもたちにビシバシ言っているので、自由遊びの時間は穏やかに子どもたちと一緒に遊ぶよう心がけていました(トラブル防止も兼ねて)。しかし、その先生は自由遊びの時間はクラスで書類を書いており、子どもたちを見ていないことが多く…(私も書類作業が残っている)。なんなら私が先に退勤して一人になっても書き続けています。多分本人は書類を書きながら子どもたちを見ているつもりなんですよね。私としてはトラブル防止や、子どもとの信頼関係を築くためにもなるべく子どもたちと関わってほしいのですが、自分の親と近い年齢の方なので言いづらく…。

こうやってすり合わせていった

その先生は、ピアノや製作のアイデアを出すのが得意だったので、そういったところは信頼して任せていました。そうやって相手の長所を見ながら保育をおこなうと、相手に対して尊敬の念も出てきます。
本人にも「いつもピアノありがとうございます。」「その製作いいですね!やりましょう」と普段から言っておいたうえで、「ここをもっとこうするのはどうでしょう?」「〇〇ちゃんと、〇〇くん最近トラブルが多いので、目を離さないようにしましょう」など伝えると、相手も分かってくれるので、その先生も子どもを見てくれるようになりました。

それでも合わないときの対処法

  • 合わないことを責める必要はない。「考え方が違う」=「どちらかが悪い」ではない。
  • 我慢が続くと自分の保育観が崩れ、ストレスや退職につながる。
  • 自分の保育観を大切にしたいなら、「環境を変える」ことも一つの選択肢。

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公式サイトより引用
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保育観のズレを“転職前”に見抜くには?

転職後に後悔しないためには、面接や見学の段階で「園の保育観」をしっかり確認することが大切です。

ただし、求人票には「子ども主体の保育です」など曖昧な表現が多く、見抜きづらいのが現実。そこで必要なのが、「質問する」「観察する」力です。

園見学・面接で確認すべき質問と観察ポイント

質問例(見学時・面接時)

質問内容意図
「保育で大切にしていることは何ですか?」園の方針の根っこを探る
「日々の保育の中で、どのように子どもの意見を取り入れていますか?」子ども主体 vs 指導中心の傾向を知る
「先生方の間で、保育の方針について話し合う機会はありますか?」チーム保育か、個人保育か
「自由遊びと設定保育のバランスは?」保育のスタイルを具体的に把握する
「園として理想とする保育士像とは?」自分に求められる役割・姿勢を把握

観察ポイント(見学時)

観察項目観察のヒント
子どもたちの表情・声楽しそう?委縮していない?黙って言うことを聞いていない?
職員の声かけ否定的?命令口調?それとも温かく受け止めている?
職員同士のやりとり連携している?雑談できる雰囲気がある?ギスギスしていない?
活動の進め方子どもが主体的?先生主導?「やらせている感」はないか?
壁面・環境づくり型にはまりすぎていないか?子どもの作品が大切にされているか?
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まとめ

保育観が合わないと感じるとき、心が折れそうになることもあります。 でもそれは、「よりよい保育をしたい」と思うあなたの責任感や成長意欲の表れでもあります。

ズレを感じたら:

  • 否定ではなく、理解と共有の姿勢を持つ
  • 「子どもにとって何がいいか?」という共通の目的を見つめ直す
  • 自分の保育観も、相手の保育観も尊重しながら対話を試みる

それでもすり合わせが困難なときは、自分の価値観を大切にできる職場を選ぶこともプロとしての選択です。

あなたの保育観が、ちゃんと活かされる場所は、きっとあります。

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