事業所内保育所ってどんなところ?保育士目線で見るメリット・デメリット【転職希望者向け】
Last Updated on 2025年5月21日 by yura

最近では、「事業所内保育所」や「企業主導型保育所」といった従来とは異なる保育施設も増えています。でも、「それって何が違うの?」「働きやすいのはどっち?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、転職を考える保育士の皆さんに向けて事業所内保育所と企業主導型保育所の違い・メリット・デメリットなどを解説します。

そもそも「事業所内保育所」とは?

「事業所内保育所」とは、主に会社や病院などの企業や団体が、自分たちの従業員の子どもを預かるために設けた保育施設です。企業内保育とも呼ばれることもあります。
特徴
- 従業員のための保育がメイン(外部受け入れがない場合も)
- 勤務先の建物内、もしくは隣接地に設置されることが多い
- 小規模であることが多く、アットホームな雰囲気
主な設置主体
- 病院
- 大企業(総合職・研究職のための保育施設など)
- 一部自治体や大学など
事業所内保育所の設置基準
定員規模と形態
- 保育所型(定員20人以上):認可保育所と同等の基準が適用されます。
- 小規模型(定員19人以下):小規模保育事業A型またはB型の基準が適用されます。
職員配置基準
- 保育所型:0歳児:3人につき保育士1人、1・2歳児:6人につき保育士1人
- 小規模型(A型・B型):
- 0歳児:3人につき保育士1人、1・2歳児:6人につき保育士1人
- A型:全員が保育士資格を有すること
- B型:保育士資格を有する者が全体の1/2以上
加えて、保育従事者を1人以上配置
利用対象児童
- 原則として0~2歳児を対象
- 従業員の子どもに加え、地域の子どもも受け入れる「地域枠」の設定が必要
企業主導型保育所との違いは?
一方の「企業主導型保育所」は、内閣府が2016年に創設した新しいタイプの保育事業で、企業が主導して運営する保育園という点では似ていますが、公的な補助を受けて運営されており、制度設計が大きく異なります。
特徴
- 複数企業の共同設置や地域枠の活用など、柔軟な設計が可能
- 外部の一般家庭も受け入れる「地域枠」がある
主な設置主体
- 保育事業会社
- 複数の企業が共同で設立
- 病院や福祉施設のグループ法人 など
比較項目 | 事業所内保育所 | 企業主導型保育所 |
---|---|---|
対象児 | 従業員の子ども・地域枠必須 | 従業員の子ども・任意で地域の子ども(1/2まで) |
子どもの受け入れ年齢 | 限定されることが多い(0〜2歳) | 柔軟(0〜5歳を受け入れる施設も) |
補助金 | 自治体から補助金あり | 内閣府から補助金あり |
職員の配置基準 | 子どもの定員人数が20人以上:0歳児3人につき1名、1・2歳児6人につき1名 子どもの定員人数が19人以下:0歳児3人に対して保育士1人、1・2歳児6人につき1名 以上に加えてもう1人職員を配置する必要がある | 0歳児:3人につき1名、1・2歳児:6人につき1名、3歳児:15人につき1名、4・5歳児:25人につき1名、+補助1名以上 |

事業所内保育所で働くメリット
少人数保育で一人ひとりに寄り添える
定員が10名以下のことも珍しくなく、乳児保育が中心です。落ち着いた雰囲気のなかで、一人ひとりの子どもと丁寧に関わる保育ができるのは大きな魅力です。
保護者の職場との距離が近い
職場のすぐそばにあるため、保護者(従業員)とのコミュニケーションが取りやすい傾向があります。急な病気やけがなど緊急時のお迎えにも対応してもらいやすいです。
行事が少なく、業務負担が軽め
一般的な保育園のような大規模な運動会・発表会などは行われないか、簡素な内容にとどまることが多いため、準備の負担が少なく働きやすいと感じる人も多いです。
異業種スタッフとの連携が学べる
看護師や医師、企業の人事担当者など、さまざまな職種の人たちと協力して保育を行う経験が積めます。医療的ケアが必要な子どもへの対応などで学びが深まることもあります。
事業所内保育所で働くうえで感じやすいデメリット
保育士の人数が少なく負担が集中する&人間関係に悩む場合も
小規模で運営されているため、職員体制がギリギリな場合もあります。欠勤時のフォローが難しく、休みにくいと感じることも。また、職員数も少ないため、人間関係がうまくいかなくなった場合に逃げ場がない可能性があります.
保育方針が不明確な園もある
施設によっては保育マニュアルが未整備だったり、「とりあえず預かればいい」的なスタンスの職場もあるため、保育士としてのやりがいを感じにくい場合があります。
キャリアアップのチャンスが限られる
主任や園長などのポストが存在しない、もしくは少ないため、キャリアアップ志向の人にはやや物足りない環境かもしれません。
事業所内保育所に向いている人

少人数保育をしたい人
事業所内保育所は定員が10〜20名以下の小規模施設も多く、子どもの人数が少ない分「一人ひとりの子どもにしっかり関わりたい」、「落ち着いた環境で丁寧な保育をしたい」という方に向いています。
子育て中で負担が少ない働き方をしたい人
事業所内保育所では、勤務時間が「8時〜17時」などの固定時間制だったり、行事が少ない分残業が少なかったりと、家庭とのバランスが取りやすいケースが多くあります。「家庭と両立したい」「フルタイムは難しいけど保育の仕事は続けたい」というママ・パパ保育士さんにおすすめです。
保護者と密な信頼関係を築きたい人
保護者は同じ職場の従業員であることが多く、顔を合わせる頻度が高く信頼を築きやすいのが特徴です。子どもの小さな変化や成長をすぐに伝えられるので、「保護者とのやり取りが苦ではない」「信頼関係の中で子どもの成長を共有したい」と思う方におすすめです。
向いていないかもしれない人
一方で、以下のような方はミスマッチになりやすいかもしれません。
行事・制作活動が好きな人
事業所内保育所は「保育サービスの提供」が主目的であるため、行事は最低限に留められていたり、行わない園もあります。大規模な行事での達成感を感じたい人にとっては、物足りなさを覚える可能性があります。
チーム保育を重視する人
事業所内保育所は職員数が少ないため、大きなチームでの分業体制がなく、孤独を感じやすい環境になることも。連携よりも個人の判断に委ねられる場面が多く、「仲間と協力して保育したい」「連携して動ける体制が整っているほうが安心」という方にはストレスになる可能性があります。
保育士としてのキャリアアップを目指す人
小規模施設であるため、昇進ポストが存在しないか、非常に限られていることが多いです。また、園内研修やキャリア支援制度が整っていない施設もあるため、保育士としての成長・スキルアップを強く求める人には物足りなく感じる可能性があります。
明確な保育方針・マニュアルがある職場を好む人
事業所内保育所は園独自のルールや方針が曖昧なこともあり、保育士自身の判断に委ねられる場面が多いです。「ルールが明確な職場が安心」「保育の方向性がはっきりしている方が動きやすい」という方には不向きかもしれません。
転職時にチェックしておきたいポイント
事業所内保育所への転職を考える際は、事前に以下の点を確認しておくと安心です。
- 勤務シフト(早朝・夜間保育の有無)
- 休憩時間や有休の取得状況
- 保育士の人数と配置バランス
- 保護者(従業員)とのやりとり方法
- 行事の頻度や準備の負担
- 医療的ケアやアレルギー対応の有無
- キャリアアップ制度の有無
また、可能であれば実際に見学をし、園の雰囲気やスタッフの表情を見ておくことも大切です。
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まとめ|自分に合った保育環境を選ぶために

事業所内保育所は、小規模で落ち着いた保育ができる、働きやすい職場として一定の人気があります。「子ども一人ひとりに寄り添う保育がしたい」「子育てとの両立を重視したい」そんな方には、ぴったりの選択肢となるでしょう。
自分の保育観やライフスタイルに合った職場を選び、転職を成功させてくださいね。