放課後等デイサービスとは?仕事内容・特徴・必要な資格をわかりやすく解説
Last Updated on 2025年5月23日 by yura

「放課後等デイサービス」という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどんな施設で、どのような仕事が行われているのかを正確に理解している人は多くありません。近年では保育士、福祉・教育分野からの転職先としても注目されています。
この記事では、放課後等デイサービスの概要から特徴、具体的な仕事内容、必要な資格、メリット・デメリットまで、わかりやすく解説していきます。

放課後等デイサービスとは?

放課後等デイサービスとは、障害のある小学生〜高校生(6歳~18歳)までの子どもたちを対象に、学校の授業終了後や長期休暇中に療育・支援を行う福祉サービスです。児童福祉法に基づく「児童発達支援・放課後等デイサービス事業」の一部として定められています。
発達障害の診断を受ける子どもに対し、学校だけでは支援が十分に行き届かないケースが増えています。保護者の就労状況や家庭の支援力にも差があり、放課後や休暇中の子どもの居場所が社会課題となっています。
役割
- 発達に特性のある児童が、安心して過ごせる場所を提供する。学校以外の場で、療育的支援や日常生活の訓練を受ける機会を保障する(子どもの最善の利益の保障)。
- 保護者に対し、育児負担の軽減と相談支援を提供する
- 地域社会とつながる機会を持ち、子ども自身の社会的自立を促す
放課後等デイサービスの基本活動
自立支援と日常生活の充実のための活動
子どもが日常生活を自立して営むために必要な基本的動作や生活習慣の習得を支援します。遊びや実践的な活動を通じて、意欲的に取り組める環境を整え、成功体験を積み重ねることで自己肯定感を育みます。
具体的な支援内容
- 基本的生活動作の習得:食事、排泄、着替え、手洗いなどのトレーニング。
- 生活習慣の確立:規則正しい生活リズムの形成や、時間の概念を理解する支援。
- 学習支援:宿題のサポートや学習計画の立案、勉強方法の指導など。
- 自己決定の促進:活動の選択や目標設定を通じて、自分で考え行動する力を育てる。
創作活動
芸術や手工芸などの創作活動を通じて、子どもの表現力や創造性を育みます。自己表現の喜びを体験し、感性を豊かにすることを目的としています。
具体的な支援内容例
- 美術活動:絵画、工作、粘土遊びなどを通じて、自由な発想を促す。
- 季節の制作:季節行事に合わせた飾り作りやイベントの準備を行う。
- 共同制作:集団での作品作りを通じて、協調性やコミュニケーション能力を育てる。
地域交流の機会の提供
地域社会とのつながりを持つことで、子どもの社会性やコミュニケーション能力を育みます。地域のイベントや活動に参加し、実際の社会経験を積むことを目的としています。
具体的な支援内容例
- 地域イベントへの参加:祭りや清掃活動など、地域の行事に積極的に参加します。
- 施設訪問:図書館や公園、公共施設などへの外出を通じて、社会のルールやマナーを学ぶ。
- ボランティア活動:地域の高齢者施設や保育園などでの交流を通じて、他者との関わりを深めます。
余暇の提供
子どもがリラックスし、自由に過ごす時間を提供することで、心身の安定を図ります。自己選択による活動を通じて、主体性や自己決定力を育てます。
具体的な支援内容例
- 自由遊び:好きな遊びや活動を自由に選択し、楽しむ時間を設けます。
- リラクゼーション:音楽鑑賞や読書、静かな環境での休息を通じて、心を落ち着かせます。
- 趣味活動:子どもの興味や関心に合わせた活動を提供し、楽しみながらスキルを伸ばします。
- 自己選択の促進:活動の選択や計画を自分で行うことで、主体性を育てます。
保護者支援
放課後等デイサービスは児童本人だけでなく、その家族を含めた「生活全体」を支えることが求められます。特に保護者は、日々の子育てや学校との調整、将来への不安など多岐にわたる課題を抱えているため以下のような支援を行うことが必須です。
- 子育ての悩み等に対する相談を行うこと
- 家庭内での養育等についてペアレント・トレーニング等活用しながら子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援すること
- 保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うことにより、保護者の支援を図るものであり、これらの支援によって保護者が子どもに向き合うゆとりと自信を回復することも、子どもの発達に好ましい影響を及ぼすものと期待される。
主な仕事内容例
放課後等デイサービスでは、専門職同士が連携し、子ども一人ひとりに合わせた支援をチームで提供します。
送迎・安全管理
- 学校から施設・自宅への送迎
- 体調チェック、ケガ防止
日常生活支援
- トイレ誘導、手洗い・うがいなど衛生指導
- 食事介助(アレルギー対応含む)
- 着替えや持ち物管理のサポート
学習支援
- 宿題やプリント学習の進捗確認
- 「自ら取り組む姿勢」を育む声かけ
- 学習のサポート
療育・活動プログラム
- 個別支援計画に基づく支援
- 成功体験を重視し、小さな「できた!」を積み重ねる
記録・連絡業務
- 日々の支援記録の作成
- 保護者への連絡帳記入・面談対応
必要な資格・配置基準
法令で定められた配置基準に基づき、以下の資格保持者を一定数以上配置する必要があります。無資格でも「指導補助」として就業できるケースもありますが、待遇面やキャリア形成を考えると以下の資格取得がおすすめです。
職種・資格 | 配置人数・要件 |
---|---|
児童発達支援管理責任者(児発管) | 常勤で1名以上 |
児童指導員または保育士 | 利用定員10名以下:2人以上 利用定員11名~15名:3人以上 利用定員16名~20名:4人以上 ※利用定員が、5名増すごとに1人を加えた数以上 |
管理者 | 1名以上(児発管との兼務可能) |
機能訓練担当職員 | 機能訓練を行う場合に配置 |
看護職員 | 医療的ケア児の受け入れや、専門的支援を行う施設では配置が求められる場合あり。 |
児童発達支援管理責任者(児発管)
資格要件(以下のいずれかの要件を満たし、かつ研修受講が必要)
- 該当資格の保有+5年以上の直接支援業務
- 該当国家資格の保有(5年以上従事)+3年以上の支援業務
- 5年以上の相談支援業務
- 10年以上の直接支援業務
研修
- 指定研修「児童発達支援管理責任者基礎研修」「児童発達支援管理責任者実践研修」の修了
児童指導員または保育士
児童指導員任用資格要件(以下の条件のいずれかを満たす必要がある)
- 教員免許(幼・小・中・高)保有者
- 4年制大学で心理学・社会学・教育学・社会福祉系の学部卒業
- 社会福祉士・精神保健福祉士の資格保有者
- 都道府県知事の指定する養成学校や養成施設を卒業した人
- 児童福祉施設での実務経験が2年以上ある者(最終学歴が中卒の場合は3年以上)
任用資格だけでは「児童指導員」と名乗れないので、実際に児童福祉施設で働く必要がある。
保育士資格要件
- 合格国家試験に合格
- 厚生労働大臣が指定する学校やその他の施設で必要な科目を修了
管理者
資格要件
- 必要な資格要件は特にない
【補足】その他のスタッフ
- 看護師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士など
→ 医療的ケア児の受け入れや、専門的支援を行う施設では配置が求められる場合あり。 - 送迎担当者(運転手)
→子どもの特性理解や安全配慮が必須。支援職員が送迎を兼任する場合も。
働くメリット・デメリット
働くメリット
- 専門性の活用:幅広い年齢の子どもと接することができ、保育・教育・福祉の知識が活かすことができる。障害のある子どもの支援について学ぶことでスキルアップを目指すことができる。
- やりがい:一人ひとりとじっくり関わることができ、子どもの成長を間近で見守ることができる
働くデメリット
- 給与水準:福祉業界全体の課題として高くはないケースも
- 身体的・精神的負担:重度児童のケア、突発的な行動対応
- 専門性:様々な障害のある子どもたちに対して個別対応が求められるため、幅広い知識が必要
まとめ

放課後等デイサービスは、福祉と教育の接点に位置し、子どもたちの発達支援を通じて「生きる力」を育む重要な現場です。
保育士や、福祉系資格をお持ちの方はもちろん、子ども支援に関心のある方にとってはキャリア形成に最適なフィールドです。ぜひ一度、現場見学や説明会に参加して、その魅力と可能性を自身の目で確かめてみてください。