保育士が適応障害になったときのサインと転職判断の基準・転職先への伝え方
Last Updated on 2025年7月11日 by yura

保育士という仕事は子どもと関わるやりがいのある仕事である一方で、心身の負担が非常に大きい職種でもあります。「朝になると職場に行くのが怖い」「園に着くと動悸がする」——そうした心の変化を感じながらも、我慢を続けてしまっていませんか?
この記事では、適応障害という観点から、保育士が「限界」と感じるタイミングと、転職を判断する基準、そして今後の選択肢について、詳しく解説します。

適応障害とは?その症状と原因

適応障害は、職場や人間関係などの「環境の変化」に適応できず、心身に不調をきたすストレス関連の障害です。
うつ病とは異なり、原因が比較的明確であり、原因から距離を置くことで改善が見込めるのが特徴です。
精神的症状
- 抑うつ気分(悲しみ・涙もろさ・無気力)
- 不安(過剰な心配・緊張)
- イライラ・怒りっぽさ
- 自分を責める思考
- 判断力・集中力の低下
身体的症状
- 不眠(入眠困難・早朝覚醒)
- 食欲不振または過食
- 頭痛・腹痛・吐き気
- 動悸、息苦しさ
- 倦怠感や疲労感
行動面の変化
- 遅刻・欠勤・無断欠勤
- 突然の退職
- 無気力になり家事や育児ができない
- 人との接触を避ける
治療と対応
原因ストレスからの回避・軽減(環境調整)
- 職場の部署異動や勤務形態変更
- 休職や退職によるストレス源からの離脱
- 家族や周囲との役割調整
心理療法(カウンセリング)
- 認知行動療法などを通じてストレス耐性や思考の癖を整える
- 自己理解や感情整理を進める
薬物療法(必要に応じて)
- 抗不安薬
- 抗うつ薬:不眠や強い抑うつ症状がある場合に使用されることも
※薬は対症療法であり、根本原因(ストレス源)への対応が不可欠です。
保育士が適応障害になりやすい理由

保育士の職場は以下のようなストレス要因にあふれています:
- 人間関係のストレス(園長・主任・先輩との圧力)
- 書類業務・行事準備などの過重労働
- 保護者対応によるプレッシャー
- 園の方針と自分の保育観の不一致
- 子どもの命を預かる責任の重さ
適応障害と診断されたときの3つの選択肢

休職する
医師の診断書があれば休職が可能です。療養に専念し、回復を待つ選択肢です。適応障害で休職する場合、傷病手当金で健康保険加入者が休職した場合に給与の約2/3が支給される制度を利用することも可能です。(支給には医師の診断書が必要)
配置転換や業務調整を相談する
園内で理解が得られる環境であれば、クラス替えや時短勤務などを申し出ることで改善の余地があります。
退職して環境を変える
根本的なストレス源が園にある場合、退職・転職によって環境を変えることも効果的です。ただし、心身共にストレスで正常な判断ができない状態にあると思われるため、主治医と相談しながら後悔しない選択肢を選びましょう。
退職後に失業保険(特定理由離職者)で「健康上の理由で退職」とされた場合、待機期間なく早期受給が可能になるケースもあります。
退職する場合のステップと注意点
まずは医師に相談
退職を決意する前に、必ず専門医に相談し「診断書」を取得します。診断書は会社に説明する際の重要な根拠になります。
園への伝え方
直属の上司に対して「体調不良のため、主治医から退職・療養を勧められた」と伝えるのが基本です。
伝える時期は月末の2週間以上前が目安です。(園によっては「退職は1ヶ月以上前に申し出ること」などのルールが定められている場合があります。まずは就業規則や雇用契約書を確認しましょう。)
離職票と健康保険・雇用保険の手続き
提出が必要な書類
- 退職届または退職願(園指定の書式がある場所もあり)
- 健康保険証(家族分含めて返却)
- 制服・名札・鍵・IDカードなど貸与物
- 引き継ぎ資料・個人メモなど(任意)
受け取る書類(退職後に必要になるもの)
- 雇用保険被保険者証
- 離職票(ハローワークでの失業給付に必要)
- 源泉徴収票(確定申告や次の職場で必要)
- 年金手帳(紛失していなければ返却不要)
- 健康保険被保険者資格喪失証明書
転職を考えるときの判断基準と選択肢

転職活動は医師と相談してから始めましょう
退職を決めた場合、焦って次の職場を探そうとするかもしれませんが、回復していない状態で転職活動や慣れない職場に転職したりすると、ストレスで再び症状が悪化する可能性があります。もし転職活動を行うのであれば、医師と相談してから始めましょう。
判断基準の例:
- 医師から許可が出ているか
- 心身の状態は十分回復しているか
- 保育士としての再挑戦か、異業種転職か
- フルタイムでの勤務が可能か
- 希望する働き方(パート/正社員/在宅など)
保育士経験を活かせる職種の例
もし保育園・幼稚園以外の転職(異業種転職)を考える場合、以下のような選択肢もあります。
転職先 | 活かせるスキル |
---|---|
児童発達支援/放課後等デイサービス | 子ども対応、発達支援への理解 |
一般事務(医療・福祉業界) | 書類作成、保護者対応の丁寧さ |
接客業(カフェ・販売) | コミュニケーション力、笑顔 |
在宅ワーク(事務/ライター) | パソコンスキル、文章力 |
特に最近では「保育士→事務職」への転職ニーズが高まっており、女性歓迎の求人も多数あります。
事務職への転職を考えている方へ
保育士から事務職への転職を考えていても、「いきなり正社員は不安…」「事務職は倍率高いから未経験だと採用されないんじゃ…」と不安に感じる方も多いと思います。
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こちらに保育士・幼稚園教諭の経験を活かせるおすすめの職場について紹介しています↓

転職先への退職理由の伝え方
結論、退職理由は伝えても伝えなくてもOKです。適応障害の病歴は、履歴書や職務経歴書に記載する義務はありません。もし伝える場合は、できるだけ前向きな表現にしましょう。
診断名を伝える場合(再発リスクが低く、職場への信頼感を得たい場合)
「前職では人間関係による強いストレスから、適応障害と診断されました。現在は通院も終了し、医師からも通常の勤務に支障はないと判断されています。」
✅ ポイント:
- 「原因」「現在の状態」「再発リスクの低さ」をセットで伝える
- 責任転嫁的な口調は避け、冷静に説明する
面接での伝え方の例(テンプレート)
前職では非常に忙しい環境で責任ある立場を任されていましたが、十分な休息が取れず、体調を崩してしまいました。その際、医師から「適応障害」と診断され、休養のために退職を決断いたしました。現在は体調も安定しており、再発防止のために生活習慣の改善や自己管理にも取り組んでおります。今後は無理のない環境で、長く働ける職場を希望しております。
志望動機とのつなぎ方(ポジティブ変換)
- 「心身ともに健康で働ける環境の重要性に気づきました」
- 「自分自身と向き合いながら、より人に寄り添える仕事をしたいと考えるようになりました」
- 「保育士としての経験を活かしながらも、職場との相性や働き方を大切にしたい」
など、経験から得た学びや価値観の変化に触れると前向きな印象になります。
注意点
- 退職理由を「職場批判」だけにするとマイナス印象に
- 選考の場では「業務に支障ない」ことを明確に伝える
- 書類に記載する場合は「一身上の都合により退職」と記すのが一般的(詳細は面接で)
また保育士として働きたい方へ
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まとめ|最後に伝えたいこと

適応障害は「弱さ」ではなく、「環境とあなたの相性」によって起こる反応です。
保育士として真面目に頑張ってきたからこそ、心が限界を迎えてしまったのです。
休むことも、辞めることも、転職することも「逃げ」ではありません。
自分の心を守ることが、最も大切な責任です。