【履歴書・面接】保育士の転職理由とマイナスに見せないコツ【退職理由】

転職活動を始める際、避けて通れないのが「退職理由」の説明です。特に保育士という仕事は人間関係や労働環境など、辞める理由が複雑になりがち。しかし、正直すぎても印象が悪くなる一方で、嘘をつくのもリスクが高いという難しさがあります。
本記事では、履歴書や面接で使える前向きな退職理由5選を紹介するとともに、「マイナスの印象を与えずに伝えるコツ」も具体的に解説します。

なぜ退職理由の伝え方が重要なのか
企業(保育園・幼稚園・こども園など)が退職理由を重視するのは、主に以下の理由からです。
- すぐに辞めてしまう人ではないか見極めたい
- 職場の人間関係に適応できるかを見たい
- 本人のキャリア観や目的意識を確認したい
つまり、たとえ人間関係や労働環境が原因でも、そのまま書いてしまうと「この人はまた辞めそうだな…」という印象を持たれかねません。
マイナスに見せない伝え方のコツ

「事実+前向きな意図」で構成する
悪印象を避けるためには、「ネガティブな事実」→「ポジティブな行動や思考」という構成が効果的です。
例:
✕「人間関係が悪くて辞めました」
→ 〇「保育観の違いがあり、自分に合った環境で保育を追求したいと考え転職を決意しました」
個人攻撃を避ける
「園長と合わなかった」「先輩が厳しかった」など、他人を批判する表現は控えましょう。理由はあくまで自分視点で、自分の将来を見据えた決断であることを強調します。
「次の職場でどう活かすか」をセットで伝える
履歴書に退職理由だけを書くのではなく、「新しい職場ではこう働きたい」という展望も併せて書くことで前向きな印象になります。
【履歴書に書ける】転職・退職理由(文例付き)

ここでは、履歴書や面接で安心して使える「前向きな転職理由」の例を紹介します。

人事担当者はテンプレートの文章に見飽きています。まるまる書き写すのではなく、自分の経験談を盛り込みながら、人事担当者にアピールしましょう。
スキルアップ・資格取得のため
「もっと専門性を高めたい」「乳児保育だけでなく幼児保育にも関わりたい」など、成長意欲が伝わる退職理由は好印象です。
文例:
前職では主に0〜2歳児の乳児クラスを担当しておりましたが、勤務を続ける中で、より幅広い年齢の子どもたちに対応できるスキルを身につけたいという思いが強くなりました。また、将来的には保育士としてだけでなく、発達支援や保護者支援の分野にも携わりたいと考えており、そのためには新たな知識や実践の場が必要と判断いたしました。現在は保育実践力を高めるために通信講座で発達心理学を学びながら、転職活動を行っております。今後は、これまでの経験に加えてさらに専門性を高め、子ども一人ひとりに寄り添える保育を実践していきたいと考えております。
給料が低い(表現を工夫し、長期的なキャリア視点に転換)
「給料が低い」はよくある転職理由ですが、マナーとしてストレートに書くのは避けましょう。
文例(長文):
前職はやりがいがあり、職場の雰囲気も良かったのですが、給与面で将来的な生活設計を考えるうえで不安が残る状況でした。自身のライフステージが変化する中で、長期的に安定して働き続けられる環境を見直す必要があると考えるようになり、今回の転職を決意いたしました。もちろん待遇だけが理由ではなく、これまでの経験を活かしながら、より良い保育を実践し、成長できる環境で力を尽くしたいという前向きな気持ちも強くあります。子どもたちの育ちに寄り添う仕事に変わりはなく、保育の質にも貢献できるよう努力してまいります。
業務量・残業の多さ(過酷な勤務環境を前向きに表現)
「残業が多い」という理由での退職理由は保育業界で理解されやすいですが、直接的に書くのではなく、労働環境の改善を前向きに伝えましょう。
文例:
前職は規模が大きい保育園に勤めており、日々の保育業務に加えて事務作業や行事準備、保護者対応なども積極的に行っていました。保育の仕事が好きで子どもたちと関わる時間にやりがいも感じていたものの、毎日職員の残業が続き、心身の疲労や、業務の質を十分に保てないことへの葛藤も抱えるようになりました。こうした経験を通じて、長く安定して働き続けるには、貴園のような業務体制が整っている職場で、保育士が保育に集中できる環境が必要であると強く感じるようになり、転職を決意いたしました。もちろん、前職でも多くの貴重な経験をさせていただいたため、貴園ではその経験を活かしながら、より持続可能な働き方のもとで、質の高い保育を行っていきたいと考えております。
労働条件の改善(勤務時間・通勤距離など)
特にワークライフバランスや家庭との両立が重視される現在、「自分に合った働き方を見つけたい」という理由は理解されやすいです。
文例:
結婚を機に生活環境が大きく変化し、前職の勤務地までの通勤時間が片道1時間半以上かかるようになりました。保育の仕事は体力面でも精神面でも高い集中力が求められるため、通勤による負担が積み重なり、本来注力すべき保育業務に影響が出ることを避けたいという思いから転職を決意しました。転職先では、自宅から無理のない通勤圏内で長く安定して働ける環境を探しております。保育の質を維持・向上させるためにも、日々のコンディションを整え、心身ともに健やかな状態で子どもたちと関わっていきたいと考えております。
人間関係(オブラートに包む表現で)
事実として人間関係が原因で退職する方は多いですが、ストレートに書くのはNG。抽象的・客観的に伝える工夫が必要です。
文例:
前職では複数担任制の保育を行っており、それぞれの保育観の違いや業務分担の方法などで、意見が分かれる場面がありました。もちろん、職員同士で意見を出し合うことは大切だと考えておりますが、結果として現場のチームワークが十分に機能しづらく、保育に集中しにくい環境となってしまったことが退職を検討するきっかけとなりました。私自身としては、子どもたちにとって最善の保育を実現するためには、職員間の連携やお互いを尊重する関係性が欠かせないと考えており、そのような環境でこそ自分の力を最大限に発揮できると感じております。今後は、互いに協力し合いながら質の高い保育を目指せる職場で働きたいと考えております。
園の方針とのミスマッチ
「保育方針に共感できなかった」「もっと子ども中心の保育がしたい」といった理由も、表現次第では前向きに伝えることが可能です。
文例:
前職の園では、カリキュラムに沿った一斉保育を重視する方針が取られていました。計画性や集団の秩序を大切にする点では非常に学びが多かったのですが、私は子ども一人ひとりの気持ちや個性をより大切にした、丁寧で柔軟な保育をしたいという思いを強く持っています。日々の保育の中で、子どもが自分で選んで遊ぶ時間をもっと確保したり、対話を通してその子らしさを引き出したりすることにやりがいを感じておりました。こうした自分の理想とする保育を実現できる場を求めて、今回の転職を決意いたしました。新しい職場では、子どもたち一人ひとりの育ちに丁寧に寄り添いながら、共に成長できる環境で力を尽くしたいと考えております。
ブランクがある場合(復帰したい方向け)
子育てや介護が理由で保育士を辞めたが、復帰したいという方向けの理由です。ブランクがあっても、子育てや介護で培った「子どもへの行動理解力」、「状況判断力」は転職活動においてプラスになるでしょう。
文例(長文):
結婚・出産を機に一度現場を離れ、数年間は子育てに専念しておりました。この期間中も、保育士としての知識や感覚を失わないよう、保育関連の情報収集や講座の受講、地域の子育て支援イベントへの参加などを行ってまいりました。子どもがある程度成長し、家庭と仕事のバランスが取りやすくなってきたため、再び保育の仕事に復帰したいと考えております。ブランクはありますが、現場での経験や子育てを通じて得た実感を活かし、より丁寧で寄り添った保育を行っていきたいと考えております。これまで以上に子どもの目線に立ち、保護者にも安心していただける存在を目指してまいります。


保育士をやめて別職種に行く場合(例:一般企業や事務職への転職)
保育士から保育事務や他職種に転向したい場合は、「自身の適性」や「新たなやりがい」を軸に伝えましょう。
文例:
保育士として働く中で、子どもと接する楽しさや成長を見守るやりがいを感じておりましたが、職務の中で事務的な業務にも関心を持つようになりました。特に行事の準備や保護者対応、書類管理などの業務に携わる中で、縁の下の力持ちとして組織を支える仕事にも魅力を感じ、事務職へのキャリアチェンジを志すようになりました。人と接する機会が多く、丁寧な対応が求められる点では、保育士として培ったコミュニケーション力や気配りが活かせると感じています。新たな業界では未経験となりますが、これまでの経験を活かしながら、組織全体を支える存在として貢献していきたいと考えております

面接で聞かれたときの答え方の注意点
面接では、履歴書に書いた内容をさらに深掘りされることがあります。以下のような対策をしておきましょう。
ポイント | 対応方法 |
---|---|
嘘はつかない | 嘘は見抜かれます。事実ベースで前向きに。 |
感情的にならない | 怒りや不満を語らず、冷静かつ客観的に。 |
一貫性を保つ | 履歴書と面接で内容がズレないように練習しておく。 |
「正直すぎて損をする」退職理由のNG例
以下は避けたいNG表現です。理由は本音でも、別の形に言い換えるのがベターです。
NG表現 | 言い換えの例 |
---|---|
給料が安かった | 長く働き続けられる環境を求めて |
人間関係が最悪だった | 保育観に共感できる職場を求めて |
園長のやり方が気に入らなかった | 新しい保育方針に共感できる園で働きたい |
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おわりに:退職理由はキャリアの一部として活用しよう

退職理由はネガティブなものではなく、「自分の価値観を明確にし、次に活かすための選択」として伝えることが大切です。
履歴書や面接での表現を少し工夫するだけで、印象は大きく変わります。
この記事を参考に、あなた自身の経験や考えを丁寧に言語化して、次のステージに踏み出してください。