保育事務は大変?元経験者が明かすリアルな仕事内容と必要な資格、大変だったこと

保育園といえば「保育士」、幼稚園といえば「幼稚園教諭」のイメージが強いですが、実は園を支える重要な役割として「保育事務」「幼稚園事務」という職種が存在します。筆者も保育士を勤めた後は「保育事務」へ転職しました。
一方で保育事務は「保育士と違って室内で座ってパソコン」と思われがちですが、意外と席にいない時間もあります。本記事では、元保育園事務員としての実体験をもとに、 詳しく解説します。

保育事務の主な仕事内容
保育事務は、保育園における「事務全般」を担当する職種で、園長や保育士と連携しながら、園の円滑な運営を支える役割を担います。
園の種類(私立、公立、企業主導型など)や規模によって業務内容は多少異なりますが、以下のような仕事が主に含まれます。
書類作成・管理
- 保育料に関する帳票・請求書の作成
- 児童の出欠管理
- 各種申請書(入園・退園・転園など)の受理と整理
経理・会計業務
- 保育料や給食費の管理
- 会計帳簿の作成・管理(会計ソフトを使う場合も)
保護者対応
- 電話応対・窓口対応
- 行事案内や配布物の作成と配布
職員サポート・庶務
- 備品や教材の発注・在庫管理
- 園長や保育士の業務サポート
- 職員のシフト管理
園内の環境整備
- 園庭の整備
- 園舎内の掃除・消毒
など
※あくまで一例です

私は保育士資格や幼稚園教諭免許も持っていたので、時々クラスに入って子ども達を見ることもありました。園によっては事務員も行事の際に手伝ったりするので、「意外に子どもと関わる」と言う人もいます。
保育事務に求められるスキル
正確な事務処理能力
保育料の管理、自治体への書類提出、勤務表の締めなど、「1つのミスが大きな影響につながる」業務が多い職種です。数字の管理や、手順通りに作業することに抵抗がない人が向いています。
基本的なPCスキル
必須ではありませんが、Word、Excel、メール対応の基本スキルは必要です。
Excelで関数が使えればベストですが、最低限SUMやAVERAGEなど簡単な関数、表の作成、文章の入力・修正ができれば問題ないでしょう。
園によっては自治体システムや勤怠システム、会計システムを扱うため、PCに苦手意識がないことが大切です。
コミュニケーション能力
事務職といっても、保護者対応や電話応対が多い職場です。特に認可保育園では、自治体や業者など外部とのやり取りも発生します。
明るく丁寧な対応ができれば、保育士経験が非常に活きます。

基本職員室にいたので、園長先生と一緒にいる機会が多かったですね。個人的には、園長先生と気が合わないとしんどいかもしれないと思いました。
保育業界への理解
子どもの発達や保育制度への最低限の知識、一年の行事の流れなどが分かると、職員との連携がスムーズになるでしょう。
保育士経験者であれば保育の流れが理解できるうえ、職員や保護者とのコミュニケーションに強いので、採用側は安心して仕事を任せられます。
必要な資格はある?
基本的に、保育事務に特別な国家資格は必要ありません。 ただし、以下のような資格や経験があると採用や業務に有利になることがあります。
- 保育士資格:保育業界への理解が深いとみなされる
- 医療・介護事務系の資格、日商簿記3級:事務経験は評価される
- Excel・Word・PowerPoint検定などのPCスキル資格
保育事務が「大変」と言われる理由

業務範囲が広い
保育に関わる書類作成(出席簿、保護者へのおたより、掲示物など)や、保護者・職員・行政などの多方面とのやりとり、経理・備品管理・システム入力など、園のバックオフィス全般を任されるので、業務ごとの切り替えが多く、優先順位を自分で判断しながら動く必要があります。
業務負担が大きい
基本的に事務員は一つの園につき1~2人なので、代理を立てるのが難しい仕事でもあります。
事務でも現場の手伝いを求められることがある
保育事務といっても、保育室とは切り離されていません。園によっては、
- 朝の受け入れ補助
- 行事準備の手伝い
- 保護者からの相談対応
- 制作活動の部品準備
など…。
事務だけやっていればいい仕事ではないため、大変さを感じる人もいるようです。

私としては、裏方として働きながらも時々子どもと関わることができるので、とても楽しかったです。
専門的知識が必要なことも
例えば、園児の健康管理に関する知識(発熱時の対応、感染症の登園基準、医師の診断書が必要なケース、保護者への連絡事項など)は必要です。感染症が流行する時期は、対応が増えて事務の負担も大きくなります。
保育事務になって良かったこと・辛かったこと
ここでは私が保育事務として働いて良かったこと・辛かったことを解説します。
良かったこと
園内のにぎわいを感じられる
直接保育はしなくとも、廊下越しに聞こえる楽しそうな声や行事での笑顔を見るたび、やりがいを実感できます。
残業が少ない園が多い
事務は原則として担任業務がないため、シフトの融通が効きやすくなります。行事の負担も保育士ほど大きくないため、プライベートが安定しやすくなります。
保育士資格を活かしながら保育を裏方から支えるやりがい
子どもたちの安全・成長を支える書類管理や環境整備は、保育士が「思い切り子どもと向き合える」土台をつくる重要な役割です。自分の仕事が園全体の質向上に直結する実感が得られます。
正確で丁寧な仕事が評価されやすい
書類や経理、備品の発注・管理などの業務は正確さが求められます。書類や手続きがスムーズに進むことで、保育士が保育に集中できる環境を整えることができます。

個人的には、保育士経験があったので保育士・幼稚園教諭の仕事への理解もありました。それにより、先生方の信頼も得られたと思っています。
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辛かったこと
様々な業務がある
業務内容が多岐にわたるため、想像してたより仕事量が多く、臨機応変な対応が求められます。
孤独感を感じる
事務員だと保育士の頃よりコミュニケーションを取る機会が少なく、若干の孤独感を感じましたね(先生自体は良い人ばかりでした!)。
どんな人が向いている?向き不向きな人の特徴

向いている人
マルチタスクが得意
保育事務の仕事は、ひとつの業務だけに集中するのではなく、複数の業務を並行して進める場面が多いのが特徴です。そのため、「今すぐ対応するべきこと」 と 「後でまとめて処理できること」 を瞬時に判断し、適切に優先順位をつけられる人は保育事務に向いています。
コミュニケーション力が高い
保護者対応、自治体とのやり取り、業者対応、保育士との連携など人と接する機会が多い職種です。とくに保育士と連携する際には、保育現場の状況を理解しながら情報共有を円滑に行う必要があります。
そのため、相手の立場を理解しながら柔らかく伝える力や質問に冷静に対応する姿勢を持つ人は、保育事務としてスムーズに仕事を進められます。
几帳面・正確性を重視
保育事務の仕事には、数字の管理や重要書類の取り扱いが多くあります。保育料の計算や自治体への提出資料、補助金の申請書などがあるので正確性は欠かせません。
几帳面な性格の人や、「間違いがないよう丁寧に確認する」という習慣がある人は、保育事務でその強みを存分に発揮できます。
責任感がある人
保育事務は園の運営を支える役割を担っているため、ひとつひとつの業務に責任が伴います。
とくに園児や保護者の情報は極めて機密性が高く、扱うデータは行政資料・住所・家庭状況などセンシティブなものばかりです。誤送付・紛失・閲覧範囲の管理など、細心の注意が必要です。
向いていないかもしれない人
変化を嫌う
保育事務の仕事は、毎日同じことの繰り返しに見えて、実は予想外の変化が多い職種です。
たとえば、自治体から急ぎで書類提出の依頼が届いたり、保育のトラブル対応が突然入ったり、行事の準備が前倒しになったりと、スケジュール通りに進まない日もあります。
そのため、決まった流れで仕事をしたいタイプの人や急な予定変更に強いストレスを感じる人には、保育事務の職場が負担に感じられることがあります。
マニュアルだけで安心する
保護者からの質問がマニュアルにないケース、行政の制度変更により手順が急に変わるケース、園長の指示で業務内容が追加されるケースなど、例外対応が多い職種です。保育事務は、状況に合わせて自分で判断したり、保育士や園長と相談しながら手順を柔軟に変えていくことが求められます。
そのため、「マニュアルに載っていないと不安で動けない」「決められた通りにしか仕事を進めたくない」というタイプの人は、仕事へのストレスが大きくなりやすいかもしれません。
臨機応変に対応するのが苦手
保育事務には、突発的な対応が次々と発生するため、予期せぬ事態に対して落ち着いて優先順位を切り替えながら対応する必要があります。
そのため、急な依頼が来ると頭が真っ白になってしまう、仕事の予定が乱されると強いストレスを感じてしまうというタイプの人には難しく感じられる瞬間が多いかもしれません。
ただし、臨機応変さは経験で身につく部分も大きいため、「絶対に向かない」というわけではありません。

まとめ

保育事務は、保育園運営に欠かせない存在であり、事務スキルやコミュニケーション能力を活かして働ける職種です。資格がなくても始められ、保育業界への貢献を感じられる仕事でもあります。
未経験から挑戦することも十分可能なので、事務職に興味があり、子どもや保育の世界を支えたいと考える方には、非常におすすめの職種です。ぜひチャレンジしてみてください。
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