保育士が乳児院で働くには?仕事内容・役割・向いている人を徹底解説

「保育士として保育園ではなく乳児院で働くことに興味があるけれど、仕事内容がよくわからない…」という方は意外と多いのではないでしょうか。この記事では、保育士が乳児院で働くために必要な知識やスキル、実際の仕事内容、そして向いている人の特徴まで、現場のリアルを徹底的に解説します。
乳児院とは?|保育園との違い

乳児院とは、家庭で養育が困難な0歳〜概ね2歳までの乳幼児を一時的または長期的に保護・養育する児童福祉施設です。虐待、ネグレクト、経済的困難、保護者の病気などさまざまな理由で家庭での生活が難しい子どもたちが入所しています。
保育園との主な違い
比較項目 | 保育園 | 乳児院 |
---|---|---|
保育の目的 | 保護者の就労支援 | 子どもの養育と保護 |
対象年齢 | 0歳〜就学前 | 0歳〜2歳程度(原則) |
保育時間 | 昼間(開園時間のみ) | 24時間(交替制) |
職種構成 | 保育士中心 | 保育士・看護師・児童指導員など多職種連携 |
保育士の仕事内容|乳児院ならではの業務内容
乳児院での保育士の役割は、単なる保育ではなく「親代わり」としての育児と心のケアを担います。保育園と比べて密接な関わりが求められます。
具体的な仕事内容
- 食事・排泄・着替え・睡眠など生活全般の援助
- 健康管理(看護師や医師との連携)
- 発達のアセスメントと記録
- 遊びや関わりを通じた愛着形成
- 家庭復帰・里親委託に向けた支援
- 保護者・行政・医療機関との連絡・調整
- 施設内のカンファレンス、会議参加
勤務形態
- 24時間体制(夜勤・早番・遅番あり)
- シフト制が一般的
- 小規模ユニット(1ユニット6〜10名)での担当制が主流
乳児院の一日のスケジュール(例)
乳児院は24時間体制の施設のため、保育士の勤務も交替制です。以下は早番勤務の保育士を想定した一日の流れの一例です。
時間帯 | 活動内容 |
6:30〜 | 早番出勤、夜勤スタッフからの引き継ぎ |
7:00〜 | 起床介助、おむつ交換、着替え、検温 |
7:30〜 | 朝食の準備・介助、食後の片付け |
9:00〜 | 朝の遊び、発達に応じた関わり(屋内外活動) |
10:30〜 | おやつの提供、排泄援助 |
11:00〜 | 昼食の準備・介助 |
12:00〜 | 午睡の準備・寝かしつけ、午睡中に記録や掃除・ミーティングなど |
14:30〜 | 起床、おむつ交換、着替え、検温 |
15:00〜 | おやつ、遊びや絵本の読み聞かせなど関わり |
16:30〜 | 順次夕食準備、夕方の活動、夜勤スタッフへの引き継ぎ |
17:00〜 | 早番退勤 |
※夜勤・遅番では、夕食・就寝介助・夜間の授乳や見守りなども担当します。
求められるスキル・資格
求められる資格
- 保育士資格
- 医師免許
- 看護師資格
- 栄養士・調理士免許
- 児童指導員任用資格
- 心理士資格
歓迎されるスキル
- 医療的ケア児への対応経験(あれば尚可)
- 虐待・トラウマへの理解(心理的支援の知識)
- 多職種協働スキル
- 丁寧な記録・報告書作成能力
乳児院で働くやりがいと大変さ
やりがい
- 少人数保育で深い関わりができる
- 子どもの命・成長に直接関われるやりがい
- 多職種と連携しながら学べる環境
- 社会的意義が大きい(児童福祉の最前線)
大変なこと
- 夜勤・不規則勤務による体力的負担
- 虐待など心が痛む背景を持つ子どもとの関わり
- 保護者不在による感情的ケアの重要性
- 書類や会議など業務量が多い傾向
向いている保育士の特徴
乳児院での仕事は非常にやりがいがありますが、向き・不向きもあります。
向いている人
- 子ども一人ひとりにじっくり関わりたい人
- 感情の起伏が少なく、冷静な判断ができる人
- 他職種と協力して働くのが得意な人
- 社会的弱者への理解と支援意欲がある人
- 不規則勤務でもストレスを感じにくい人
向いていない可能性がある人
- 決まったスケジュールで働きたい人
- 急変や医療的配慮に不安を感じる人
- 心の弱い人
乳児院で働くには?
乳児院は全国に約140施設(※2023年)と数が少なく、各都道府県に数か所程度しか存在しない地域も多くあります。また、職員配置も保育園に比べて少人数で回しているため、常時求人が出ているわけではなく、「乳児院の求人は見つけにくい」「チャンスが限られる」という状況があります。
そのため、乳児院勤務を目指す保育士は
- 定期的な求人チェック(自治体・法人HP)
- 転職エージェントへの登録
- 見学やボランティアを通じて施設とつながりを持つといった工夫が求められます。
「本気で働きたい」という熱意を持ち、機会を逃さず行動することが大切です。
応募・面接のポイント
- 「なぜ乳児院で働きたいか」を明確に伝える
- 福祉的視点・チーム連携の意識があることを示す
- 応募前に施設見学やボランティア参加があると◎
まとめ|乳児院で働く保育士の魅力と覚悟

乳児院での保育士の仕事は、一般的な保育園とはまったく違う側面を持ちます。子どもの命と心に深く関わり、その成長に大きな影響を与える重要な役割です。大変なこともありますが、その分「保育」という枠を超えた深い人間関係と、福祉的なやりがいを感じられる現場です。
「子どもにとって本当に必要な関わりがしたい」「福祉の最前線で働きたい」そんな想いを持つ保育士にとって、乳児院は大きなやりがいを得られる職場となるでしょう。