保育士の現場でよくある悩み5選|誰にも言えないモヤモヤを解消するヒント【元保育士が解説】

保育士という仕事は、子どもたちの成長に関われる素晴らしい職業です。しかしその一方で、現場では「誰にも言えない悩み」や「日々蓄積するモヤモヤ」と向き合いながら働いている方も少なくありません。
本記事では、保育士が現場でよく抱える5つの悩みを紹介し、それぞれに対する具体的な解消のヒントも合わせてご提案します。「同じように悩んでいるのは自分だけじゃなかったんだ」と、少しでも心が軽くなるきっかけになれば幸いです。

1. 人間関係のストレス

保育現場における人間関係の悩みは非常に多岐にわたります。
例えば、園長や主任との相性が悪く、一方的に指示されるだけで意見が通らないことにストレスを感じている保育士は少なくありません。また、同僚との関係にも難しさがあり、派閥の存在や陰口、挨拶をしても返ってこないなどの冷たい態度に孤立感を覚える人もいます。
園長・主任との相性の悪さ
- 方針の押しつけや一方的な命令
- 頑張りを正当に評価してくれない
同僚とのトラブル
- 派閥やグループ化
- 挨拶を無視される、無言の圧力
- ペアの保育者との相性が合わない
コミュニケーション疲れ
- 雑談に混ざれない孤独感
- 「察して」が多く説明が不十分な文化
💡解消のヒント
- 自分と合うタイプの人を見極め、距離感を保つ
- 必要最小限の会話でも業務は回ると割り切る
- 信頼できる園外の人に話してストレスを言語化する
2. 保護者対応のプレッシャー
保護者との関係にも大きなストレスを感じている保育士は多くいます。
子どもの軽微なケガに対して過剰なクレームを受けたり、「もっと手厚く見てほしい」といった無理な要求を突きつけられることもあります。また、家庭でのしつけと園での保育方針にズレがある場合、子どもの言動にギャップが生まれ、その説明責任や対応に頭を悩ませる場面も少なくありません。
クレームや過度な要望
- 「うちの子がケガをしたのはあなたのせい」
- 「もっと手厚く見てほしい」など無理な要求
親のしつけと園の方針の違い
- 食事マナーやトイレトレーニングなどを家庭でやらず、全て園任せ
- 保育方針に理解を示さない親
感情をコントロールする難しさ
- 言い返したくなる場面でも冷静さを保たなければならない
- 表情・言葉づかいに常に注意が必要
💡解消のヒント
- 個人対応ではなくチームで対応策を共有する
- 書面(連絡帳・報告書可能でしょう)での記録を徹底する
- 感情的になる前に深呼吸や時間を置く工夫をする
3. 業務量と労働環境の過酷さ
保育士の仕事は、目に見える子どもの対応だけではなく、裏方の業務も非常に多いのが現実です。例えば、子どもたちが帰ったあとに会議や制作物の準備をしなければならず、持ち帰り仕事が常態化している園も少なくありません。
残業・持ち帰り業務
- 園児が帰ったあとも会議・制作・掃除
- 行事準備に夜遅くまで残る
曖昧な分担と責任の押し付け合い
- 「配慮が必要な子は誰が見るの?」
- 責任の所在が曖昧でストレスになる
労働環境の整備不足
- 保育環境が整っていない(安全管理や衛生管理)
- ICT導入が遅れており、書類が紙中心で非効率
💡解消のヒント
- 自分の時間を守る工夫(定時退勤の習慣づくり)
- 可能な範囲で業務改善を提案(効率化や分担の見直し)
- 「仕組みが整った職場」への転職を検討
4. 体力・メンタルの限界とセルフケア不足
体力面・精神面の限界を訴える保育士も多くいます。
立ち仕事や抱っこ、外遊びの付き添いなど、日常的に体にかかる負担は大きく、慢性的な疲労に悩まされることもあります。加えて、子どもの問題行動に繰り返し対応したり、感情を押し殺して関わり続ける中で、メンタルも疲弊していきます。
体力的な負担
- 長時間立ちっぱなし・抱っこ・外遊び対応
- 食事介助・掃除・階段移動が日常茶飯事
メンタルの疲弊
- 子どもの問題行動の対応でストレス蓄積
- 自分の感情を押し殺して我慢し続ける
プライベートの圧迫
- 休日も疲れが取れず寝て過ごす
- 時には休日出勤も
💡解消のヒント
- パート勤務や週休3日制など柔軟な働き方への切り替え
- 心療内科やカウンセリングの利用も視野に
- 一度立ち止まる「リセット期間」をとる勇気も大切
5. 保育方針・教育観のズレ
「子どもを大切にしたい」「個性を伸ばしたい」といった思いがあっても、園の方針と合わないことで葛藤を抱えてしまう保育士もいます。また、園内で新しい保育方法や改善案を提案しても、「昔からこうしているから」と一蹴されてしまうような閉鎖的な風土も、保育士の成長意欲を阻害してしまいます。
さらに、子どもの教育よりも運営や利益が優先されている園では、園児数の過密や人手不足といった現場の課題が放置され、現場職員に過度な負担がかかることもあります。
自分の保育観が通じない
- 子どもの主体性を大切にしたいが、園は一斉指導型
- 年齢や時代に合わない制作活動や行事に違和感
提案しても受け入れられない風土
- 改善案を出しても「昔からこうだから」で却下される
- 若手の意見が軽視される空気
教育よりも運営重視の姿勢
- 保育の質よりも定員・利益を優先される
- 人数不足なのに園児受け入れが止まらない
💡解消のヒント
- 自分の「譲れない軸」を明確にし、言語化する
- 園見学やOB/OG訪問で職場の保育方針を事前に確認する
- 理念が合う職場に転職することは自己実現に直結

環境を変える選択肢として:転職サービス
もし、こうした悩みが慢性化し、改善が難しいと感じたときは、働く環境自体を見直すことも必要です。近年では、保育士向けの転職支援サービスが充実しており、自分に合った職場を見つけるサポートを受けられます。
まとめ|「悩む自分」から「動ける自分」へ

保育士の悩みは、構造的で複雑です。個人の努力だけで解決しようとせず、
- 人に話す
- 頼る
- 環境を変える
といった選択肢を持つことが、結果的に自分と子どもたちのためになります。悩みは弱さではなく、「よりよく働きたい」というあなたの意思の証です。
どうか、自分を責めず、優しく丁寧に向き合ってみてくださいね。